形態模写

先日、晩ご飯を食べていたときのこと。

「ねえねえ」
「ん?どした?」
「今日、ホーマックに買い物に行ったら、園芸屋さんのところに花があったのね」
「ほうほう」
「で、それ、買おうと思うんだけど、いい?」
「んー、花ってなんの花?」
「名前は忘れちゃったんだけど、こんなの」

と言って、やおら立ち上がった彼女は両手首を猫のように曲げ、右手は目の高さくらい、左手は腰の位置くらいにしたんです。なんていうか、その、ヒエログリフの文字板とかに描いてあるエジプトっぽいポーズっていうんでしょうかね。

花の名前を訊いて形態模写で返されるとは夢にも思わなかったので、あらためて尋ねました。

「えーと、それは、木?」
「そう。木に花が咲いてる」
「あー、ミニ盆栽とか?」
「あ、そんな感じ」
「で、どんなヤツだっけ?」
「こんなの」=>ヒエログリフなポーズ


「うーん、それだけじゃわかんないかも。花って何色?」
「薄いピンク」
「けっこう大きいの?」
「ううん。全然小さい。小さくて、かわいい」
「で、枝ぶりがどんなヤツだっけ?」
「こんなの」=>ヒエログリフなポーズ

と、その格好が面白かったのでなんどか繰り返させたのですが、結局何の盆栽だったのかわからず。今度行ったときに名前見てきてよ、ってことで話は終わりました。

しかしまあなんというか、表現というものは制限がないのだなあと詠嘆。