距離と時間

脳関係の書籍などを読んでると、よく出てくる彼。

彼の名は ペンフィールドホムンクルス 。ヒトの感覚の入力の量や重要性をそのままサイズに反映させるとこんな感じになりますよ、という人形だったり絵だったりするヤツです。くちびる超厚い。

彼を眺めているうちに、ふと「地図ってのも距離よりも実は 時間 のほうが重要なんじゃないだろうか?」と思いつきました。アクセルを踏んだり、つり革につかまったり、シートに座って車窓の景色を眺めたりというのは、自分のチカラをともなう移動ではないわけで、それならばむしろその拘束時間のほうが重要なのではないかと。

というわけで、とりあえず北海道地図を描いてみました。

図示されている同心円は、旭川市を中心に1時間単位で描画しています。函館まで7時間。有料道路を使わないで、自動車で行くとだいたいそのくらいかかるかなあということで。

さて、次に Yahoo!路線情報MapFan.net を駆使して、旭川市から各市への交通機関別の所要時間を調べて、Excelにつっこんでいきます。

このあたりで、「なんだ?私はいったいなんでこんなことをやっているんだ?」という思いにとらわれてきます。なんという単純作業。眠い。そりゃそうだ。だって昨日、寝る前になんとなく 残酷な神が支配する を読み始めたら止まらなくなって、結局4時くらいまで起きてたしなあ。ああ、マッチ一本萩尾望都 、といったのは江口寿史だっけ?実にうまいこというなあ……

と、いうようなことをつらつら考えながら手を動かしているとやがて入力完了します。そう、明けない夜はないのです。それではこの所要時間に基づいて、先の北海道地図をいじっていきます。ルールは、

  • 旭川市を中心とする
  • 航空機/JR/自動車で所要時間の短いものを採用する
  • 旭川から目的地まではひとつの交通機関で完結するものとする
  • 旭川から目的地の方位は不変
  • 困ったときはよきにはからう

です。あ、旭川市中心なのは私が旭川在住だからです。で、上記ルールを摘要した結果の地図がこちら。

おお、函館がむちゃくちゃ近い。トラピストクッキー食べ放題な感じ。で、やっぱりだいたいの市が「なになになに?」って旭川に近寄ってきているふうですね。稚内や網走や北見は興味を持ちつつも態度を決めかねているようです。帯広と釧路、根室はむしろそっぽをむいたといったところ。「おい、なんだってオレは海に落ちているんだ?」というのは北斗市。えーと、心よりお見舞い申し上げます。

やってみたんですけど、なんかあんまり面白い感じじゃないような。

うーむ、なぜだろう?

あ、そうか。アレだ。やっぱり地形がおんなじなのがつまらないのではないだろうか?じゃあ、地形も変えちゃおう。ルール(というか考え方)は、

  • 全市の人口 4,460,117人 ÷ 北海道の人口 5,627,737人 = およそ 80%
  • 北海道の面積は 83,455平方キロメートル。これの 80% は 66,764平方キロメートルである。
  • 各市の人口 ÷ 全市の人口 で比率を出して、その比率によって各市に 66,764平方キロメートルを振り分ける
  • 地形は面倒くさいので円形とする。
  • 困ったときはよきにはからう。

また Excel ぱたぱた。あ、数字は総務省統計局の 平成17年度国勢調査 のデータを使いました。

で、出来たのが以下の地図。

あ、なんだかすごく残念な感じ。そもそも上のルールを摘要すると札幌市が大きすぎ(ちなみに全市の人口の 42% が札幌市)。しかもその周辺に市が集まっているために、ほとんどの市の地形が札幌市の地形に含まれてしまうんです。きっと北海道ではありえない人口密度になっているのではないかと。んー、もっと面白い形になると思ったのに。ものすごく時間のムダをしたような気が……

えー、まず前提条件のミス。さらに地図製作のスキルが足りなかったようです。以上、敗戦の弁でした。

以下、悪あがき。

やっぱりイマイチだ。あーあ。